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東京大学身体運動科学研究室ロゴマーク

大学院 総合文化研究科 生命環境科学系 身体運動科学
教養学部(3・4年) 統合自然科学科 スポーツ科学
教養学部(1・2年) スポーツ・身体運動

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授業

共通基礎実習

1年生の「身体運動・健康科学実習」において、夏学期に2回、冬学期に2回、全員共通の「基礎実習」を行う。 この実習の目的は、教科書6頁にある「身体運動関連授業科目の教育目標」を実現するため、スポーツから労働作業や日常生活行為まで、 あらゆる行為に共通する基礎である「動くからだ」の科学的原理を、実際に自分の身体を使って学ぶことにあります。
運動や力が、脳・神経・骨格・骨格筋・心臓や、それらを構成する細胞などの基本的な生命システムによって、どのように生み出されているのか(人間の基本動作、呼吸循環と健康)、 脳が生み出す感覚や感情などの心的過程が運動や力とどのように関わっているのか (つもりと実際)、 生命体としての身体を適切に保全するにはどうすればよいのか(救急処置)、 など、「自身(自分の身体)」を知り、からだとこころの調和のとれた、本質的な健康のあり方を学びます。

【つもりと実際】

「反動動作」と「身体運動の自己組織化」を例に自分の運動意図(“つもり”)と“実際”の結果の相違について計測・確認し、身体運動パターンの生成則について考察します。 「反動動作」では運動中の力の入れ方を加速度センサを通じて計測し、より高く跳ぶための身体の使い方について考察します。 「身体運動の自己組織化」では自身の意図に反して体肢の協調性が変化する現象を体験し、力学系の概念からその現象を考察します。

【救急処置】

救急処置に関わる下記事項を実施します。
バイタイルサイン(呼吸、脈拍、血圧)のチェック、心肺蘇生法CPRの実施、自動体外式除細動器AEDの取り扱い、RICE処置の学習およびアイシングの実施、傷病人の運搬、(その他)アルコールパッチテストの実施

【基本動作】

人間の動きには、歩く・立つ・座るなどの基本動作があります。これらの基本動作をなぜヒトは行うことができるのか、といった点について 筋電図、足圧分布を測定し、考察します。 身体動作を理解するためには筋の働きを理解する必要があります。筋肉は神経系からの指令により制御されているため、筋の電気的活動を 反映する筋電図を取得することで動作中の筋の活動を可視化し、動作と筋活動の関係性を考えます。また、立位時の足圧分布を専用の機器で調べ、身体重心が 後傾していないか、あるいは前傾しすぎていないか等を可視化し、身体重心について考察します。その他、柔軟性に与えるストレッチの効果について、角度計を用いて確認します。

【呼吸循環と健康】

運動時の心拍数はどのように変化するかを知り、エネルギー需要を身体が把握して調整していることを学びます。
各自心拍計を装着した状態で異なる速度で走り、各速度における心拍数を計測し、速度と心拍数の対応関係を確認し、理論的背景を学んだ上で、関係性について考察します。 また、その結果を受けて主観的運動強度の考え方を学び、長距離走=きついというのではなく、各人のきつくない至適速度を知り、きつくなく走れる速度があることを学びます。 そしてその至適走行速度の心拍数、主観的運動強度を知り、実際の運動に役立てる知識を得ます。発展課題として、速度?心拍数関係から、マラソン・長距離走等の走運動の記録を推定します。