概要
沿革
身体運動科学研究室とは
身体運動科学研究室(身体運動科学教室)は、戦後の新制大学制度が発足した昭和24年(1949年)に東京大学教養学部保健体育科として発足しました。
東京大学教養学部は、旧制第一高等学校のキャンパスを引き継ぎ、目黒区駒場の地で教育・研究活動を行ってきました。
教育面では1、2年生を対象として保健体育講義と体育実技を行ってきました。大学設置基準大綱化(平成3年)および大学院重点化によって、
平成6年(1994年)に大学院広域科学専攻生命環境科学系身体運動科学グループ(前期課程スポーツ・身体運動部会)として組織替えされました。
令和5年(2023年)からは、3、4年生を対象とした統合自然科学科スポーツ科学コースが設置され、
身体運動科学に興味を有する学生にとって、学部1年生から4年生まで、更には修士や博士課程まで一貫して学べる機会が整いました。
駒場の体育実技は先見的な取り組みも多く、50年前に既に、低体力者に対するトレーニング授業(現・フィットネス授業)を開講したり、
運動に際して配慮が必要な学生に対して特別体育(現・メディカルコース)を開講するなど、現在にも繋がる授業が行われてきました。
研究面では所属する12の個別研究室が日々研究を進めております。いずれの研究室も身体運動に関わる研究という点では共通していますが、
内容は幅広く、スポーツや日常における運動能力向上や障害予防、また、身体障がい者のリハビリテーション等はもちろんのこと、音楽演奏やダンスといった芸術系の身体運動を
研究テーマとする人もいます。
組織も時代とともに拡大し、現在は20余名の教職員、約50名の大学院生、10名弱の卒業研究生から構成される組織となっています。
大学院生の過半数は、学内他学部や他大学からの入学者である点が当研究室の大きな特長となっております。加えて、社会人学生も多く、
それぞれに得意分野が異なることから、これらの人々が共存共生する当研究室は非常に強力であり、活気あふれる組織となっています。
なお、メンバーの多くがスポーツやトレーニング好きであることは言うまでもありません。
修了生数
2023年度 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
博士 | 2 | 5 | 5 | 4 | 10 | 3 | 6 | 6 | 4 | 6 |
修士 | 14 | 12 | 9 | 10 | 8 | 13 | 11 | 10 | 17 | 7 |
卒論 | 2 | 7 | 9 | 6 | 10 | 8 | 4 | 3 | 6 | 3 |
2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
博士 | 3 | 5 | 2 | 4 | 4 | 5 | 5 | 8 | 10 | 7 |
修士 | 8 | 10 | 6 | 8 | 10 | 12 | 10 | 6 | 11 | 11 |
2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 1999 | 1998 | 1997 | 1996 | 1995 | 1994 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
博士 | 2 | 3 | 7 | 5 | 4 | 4 | 4 | - | - | - |
修士 | 7 | 8 | 7 | 3 | 7 | 10 | 9 | 7 | 11 | - |
(詳細:学位論文一覧)
研究室の呼称
東京大学・大学院の教育は3層構造(図参照)になっており、
身体運動科学研究室は、その構造に合わせて3つの役割(立場)があります。1990年代の大学院重点化、2012年の
統合自然科学科の発足を経て、学部1年生から博士課程まで全ての学年の教育に携わる組織となり、呼称も増えました。
呼称が増えたことにより、異なる組織に見られることも増えましたが、本質的には同じ組織です。
また、歴史的な経緯から慣例的に“研究室”と呼んでおりますが、いわゆる各教員主宰の“研究室”とは異なります。
規模的には通常研究室よりも大きいことから、区別するため “教室”と呼ぶこともあります。
余談ですが、9号館玄関に設置されている看板(上の写真)では“研究室”が使われ、スタッフ全員が出席する意思決定のための会議
「教室会議」では“教室”が使われます。
ロゴ
「しなやかに飛躍する身体」がシンボル化されています。シルエットのかたちは様々な曲線の重なりから構成されており、幅広い領域における研究を通じて実現する、健康的でしなやかな身体が表現されています。 人物を構成する曲線を背景に重ねることで可視化された動作や風を切るようなイメージが付加されています。カラーリングにおいては研究領域の多様性が表現されています。
沿革
昭和24年(1949) |
新制・東京大学発足、教養学部保健体育科創設(1・2年生体育実技必修) (旧制・第一高等学校より施設等継承) |
昭和35年(1960) | 『体育学紀要』(編者:教養学部体育研究室)創刊 トレーニング(現:実技フィットネス種目)の授業開始 |
昭和37年(1962) | 現行方式の新入生体力測定開始 |
昭和38年(1963) | トレーニング体育館 竣工 (日本初のウエイトトレーニング施設。2021年解体) |
昭和42年(1967) | 旧・身体運動科学研究棟(現・全学共同利用施設) 改築 |
昭和63年(1988) | 現・第1体育館 竣工(旧・第1~3体育館の代替体育館として) |
平成5年(1993) | 大学設置基準の大綱化(1991)に伴い、2年生体育実技が必修から選択科目へ。 第1回身体運動科学シンポジウム開催 |
平成6年(1994) | 大学院重点化に伴い、総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系新設。 保健体育科研究室から身体運動科学研究室に通称変更。大学院生受入開始。 |
平成7年(1995) | 11名が初の修士号取得(1996.3) |
平成8年(1996) | 『体育学紀要』30号を最後に廃刊。 |
平成9年(1997) | 4名が初の博士号取得(1998.3) 年報『身体運動科学』を創刊 |
平成19年(2007) | 修士号取得者が100名を超える(1999.3)。 |
平成24年(2012) | 教養学部統合自然科学科スポーツ科学サブコース設置。翌々年(2014)に1期生卒論執筆。 |
平成28年(2016) | 東京大学にスポーツ先端科学研究拠点設立 |
平成29年(2017) | 博士号取得者が100名を超える(2018.3)。 |
令和2年(2020) | 新・第2体育館 竣工(トレーニング体育館、旧・第2体育館の代替体育館として) |
令和5年(2023) | 統合自然科学科スポーツ科学コースが設置され、1期生3名進学 |
(『駒場の50年』(編集:駒場50年史編集委員会)、教養学部報を参照) |