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大学院 総合文化研究科 生命環境科学系 身体運動科学
教養学部(3・4年) 統合自然科学科 スポーツ科学
教養学部(1・2年) スポーツ・身体運動

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研究

第32回身体運動科学シンポジウム 報告記

2024年12月14日(土)、第32回身体運動科学シンポジウム「常識にとらわれない身体運動科学」が開催された。 開会に際し、身体運動科学研究室の主任である久保啓太郎教授よりシンポジウムの開催に至った経緯が説明された。また、身体運動科学研究室の紹介では、竹下大介准教授より同研究室の沿革が紹介された。
シンポジウムの第一部は八田秀雄教授にゆかりある4名の研究者が「常識にとらわれない身体運動科学」というテーマのもと、さまざまな視点から、代謝と運動に関する研究を紹介された。 高橋謙也氏(東京大学大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 助教)は、「骨格筋ミトコンドリアの適応を誘導する代謝シグナルとしての乳酸」という題でミトコンドリアの適応における乳酸の効果に関して、動物実験を中心に紹介された。
寺田新氏(東京大学大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 教授)は、「骨格筋代謝調節におけるPPARβ/δの役割」と題して、高脂肪食がミトコンドリアに与える影響やPPARβ/δの重要な役割について紹介された。
高橋祐美子氏(東京大学大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 准教授)は、「運動後のグリコーゲン回復 「合成する」以外にも目を向けて」という題で、タウリン摂取と疲労回復の関係、さらにケトン体の投与がグリコーゲン回復に与える影響について紹介された。
柿木克之氏(Blue Wych合同会社 代表)は「強化の現場で活用する乳酸の新しい可能性を求めて」と題し、乳酸カーブ測定と自転車競技パフォーマンスとの関連、さらには乳酸測定のトレーニング現場での活用法について紹介された。
第二部では八田秀雄氏(東京大学大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 教授)による基調講演「乳酸は疲労物質でないと言い続けて40年」が行われた。これまで取り組んでこられた乳酸研究の歴史から、最新の知見までを包括的に紹介され、動物研究からヒトへの応用に至るまで幅広い内容が展開された。
コロナ禍でのオンライン開催を経て、2019年以来となる対面でのシンポジウム開催となったが、全国各地から多くの方々に参加いただき、活発な議論が交わされた。最後に、本シンポジウムにご参加いただいた皆様、ならびにシンポジウムの運営にご尽力された関係者の皆様に深く御礼申し上げたい。
(執筆:身体運動科学研究室 助教 佐々木睦)

八田教授と登壇者

八田教授を囲んで(左から柿木克之氏、高橋謙也氏、八田秀雄氏、寺田新氏、高橋裕美子氏)